【移住者インタビュー】自分を生きる人生の入り口は、山の暮らしにあった。

プロフィール
  • 氏名 江内田 徹
  • 移住した年 2024年
  • 出身地 佐賀県
  • 世代 20代
  • 現在の職業 自営業
  • 移住前の職業 会社員
  • 現在の居住地域 大野見地区
  • Instagram @yakara.kara




「田舎は、会う人も少ないし、消費する場所もない。何か楽しもうと思ったら、自分で作らなきゃいけない。でも、半年暮らしてみて、それが意外と気持ちよくて。都会は刺激があって楽しいですけどね。」 

泥のついた長靴に、汚れたトレーナーにジーンズ。 仕事帰りだという江内田さんの、飾り気のない言葉には、暮らしの充足感が垣間見える。

新卒で入った、オフィス家具を扱う会社では、企業向けに空間づくりの提案書を作る日々。「なんのために働いて、なんのために生きているのか。」惰性で働いていることに薄々気づきながら、仕事をこなしていた。そんな生活を手放し、地元・佐賀から中土佐町の大野見へ移り住んだのは2024年夏。 

「佐賀でのサラリーマン生活は、狭くて寒い部屋と会社を往復するだけ。 休日にすることといえば、喫茶店に行くか、岩盤浴に行くか、実家に帰るか。孤独だし、寒いし、鬱々としてましたね。」 

そんななか、大学時代の先輩が大阪から中土佐町に移住することを知り、自分も仕事を辞めて飛び込むように移住した。

 現在は、生姜やトマトといった季節労働を軸に、大野見の中で様々な仕事に関わっている。地域の喫茶でのモーニング提供、宿泊施設での仕事、現代アートの展覧会の企画に、草刈り。数年後にハーブ農家として独立することを目指しながら、自宅の畑も耕している。

 

 「休みと仕事の境目がなくなった気がします。お金が発生するかとは関係なく、ここには“やるべきこと”があって。それをしていたら、いつのまにか1週間が過ぎていくような感じですね。」

働かされているわけでも、誰かに命じられているわけでもない日々の中に、生きている感触が生まれる。 江内田さんの中土佐町での暮らしは、そうして今日も続いている。

インタビュー&写真&文章 鈴木弥也子