防災も観光も、人の温かさも。私だからできること、ここだから叶うこと。

プロフィール

・氏名 石山佳那
・移住した年 2025年
・出身地 福島県
・世代 30代
・現在の職業 地域おこし協力隊 
 ※(一社)なかとさ観光協会にて勤務
・移住前の職業 地域おこし協力隊
・現在の居住地域 久礼地区
・Instagram @naka.kyoryokutai2025
・観光協会HP https://nakatosa.jp

 

「3.11翌日の原発事故で、救助が1か月以上遅れた被災地の写真を見たことがあるんです。そこに残された多くの人の死に胸が締めつけられました。こんな苦しい思いをする人を増やしちゃいけない。」

そう語るのは、福島県出身の石山佳那さん。2025年4月から中土佐町・久礼で暮らす地域おこし協力隊だ。それまでは、原発事故の被災地・浪江町で被災地を巡るツアーガイドを5年間務め、町の記憶と教訓を伝えてきた。

「正直、高知に移住するなんて思ってもみませんでした」と笑う石山さん。転機は、「防災テーマパーク宣言」を掲げる中土佐町の防災×産業×観光のまちづくりを知ったこと。
「私の経験も活かせるし、お酒もカツオも柑橘も大好きだし…」と、心の距離がグッと縮まった。

さらに背中を押したのは、数年前に初めて高知を訪れた時の体験だった。復興支援の研修で大川村や三原村を巡った時の記憶を振り返る。

「朝、民宿の前を散歩してたら、畑のおじいちゃんが『おはよう』って声をかけてくれて。人との距離感の近さに温かさを感じてすごく嬉しかったんです。」
そんな何気ない日常の瞬間が石山さんにとっての“高知らしさ”を形作る原体験になった。

現在は、避難タワーの案内やパンフレット作成、観光列車の対応、自主防災組織への参加など、防災に日々関わっている。
「各地区の防災倉庫がここまで整っていて、自主防災の意識が高い地域は珍しいと思います」

また、浪江町で培ったSNS運営の経験を活かし、休日には福島県での広報活動もサポートしている。

着任から4ヶ月、今後の目標を尋ねると、石山さんはこう答えた。
「観光も防災も、誰かの“来てよかった”や“気づけてよかった”につながる仕事。これからは町内に限らず、様々な地域で災害を“自分ごと”として考えてもらえる場をつくっていきたいですね」

 

参考:https://www.n-bouka.or.jp/local/pdf/2022_06_32.pdf

 

インタビュー&写真&文章 鈴木弥也子