解体寸前の空き家を「タダ」で譲り受ける。中土佐町・薪ストーブのある里山暮らし。

 

  • 氏名 林 勉 (ハヤシツトム)
  • 移住した年 2025年12月(Iターン)
  • 出身地 東京都足立区 
  • 世代 60代
  • 現在の職業 無職
  • 移住前の職業 公務員
  • 現在の居住地域 大野見地域

「キャンプ旅の途中、カツオを食べるならどこだ、と調べたら中土佐町が出てきて。それがこの町との出会いでした。」

生まれも育ちも東京、都内で15回の引っ越し歴を持つ林勉さん(64歳)は、昨年12月に中土佐町大野見へ移住した。きっかけは四国を巡るキャンプ旅だった。

「いつかは東京を出て、自然に囲まれた生活がしたい」そう思い続けてきた林さんは、その足で町役場に立ち寄り、移住担当者に話を聞いた。その後も移住体験住宅に1ヶ月滞在するなど、4〜5回通い続けて移住を決心した。決め手は、土地の人柄だったという。実際、飲み屋に一人で入っただけで常連たちの輪に引き込まれ、移住前から顔なじみができた。

「お遍路の文化があるからか、高知の人はよそ者にもウェルカムな空気がある。」

その後、見つけた物件は30年以上放置されていた空き家だった。

「解体しかないと言われてた家を、タダでもらったんです。」

約400万円の町の補助金を活用し、自己資金およそ200万円を加えた計600万円強で、屋根・天井・床・壁・トイレをすべて刷新した。裏手には川が流れ、対岸には桜の木。暖房は薪ストーブのみで、燃料は近所の製材所からもらい受けることも。

もらった木材を自分で薪に加工

移住してまだ3ヶ月だが、家はすでに近所のおじさんたちの「たまり場」になっている。移住を決意した時、周囲には「そんなところに行ってどうする」と反対する声もあったが、林さんの答えはシンプルだった。

65歳まで働けたけど、それまで待ってたら、この薪は割れないし、この家もできていないんじゃないかな。元気なうちに始めないと。」

その言葉通り、チェーンソーを操り、薪を割り、川のせせらぎを聞きながら仲間と酒を飲む。東京ではできなかった暮らしが、ここにはある。64歳の、これが最高の贅沢だ。

家の裏には小川が流れ、春には桜も咲き、秋には紅葉も楽しめる



インタビュー&写真&文章 鈴木弥也子




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